UMOZ

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苔をはじめとした他種生物の環世界の理解を通して、新しい共生の可能性・豊かな生活を探求することを目指す「環世界インタフェースプロジェクト」の一貫である。UMOZは苔の環世界をテーマに制作した自律走行ロボットである。 苔の移動能力を拡張することによって、人間が認知可能なモーダルで苔の環世界が表出され、苔の生態への理解やエンパシーを促進させる。






コケは森やお寺の庭、道路脇など、いろんな場所に様々な種類のものが自生しています。
ジメジメした場所が好きだったり、明るい場所が好きだったりといろんなキャラクターを持っています。そんなコケにもし足が生えて動くことができたら、どんな振る舞いを見せてくれるでしょうか?
本プロジェクトは、動植物をはじめとした生物の環世界(※)の理解を通して、自然物との共生の可能性や豊かな生活を探求することを目指す「環世界インタフェースプロジェクト」の一貫として行いました。
※環世界とは、生物学者ユクスキュルが提唱したすべての生物は自身が持つ知覚によって独自の世界を構築しているという考え方です。




コケは日光・水・空気を葉や茎などから吸収し、それぞれの種類が適した環境に根差します。コケには「仮根」という器官があります。仮根は一般的な植物の根とは異なり、養分や水分を吸収する機能を持たず、ただ定着するための脚のような役割を果たします。そのため、コケは他の多くの植物のように土が必要ではなく、石の上や木の表面などに定着することができます。
一方で、人間が暮らす現代社会は光や湿度が自在に制御され、環境の状態は常に移り変わっていきます。 そのようなある意味「制御された自然」環境でコケが合理的に生きるとしたら、仮根は「根差す」のではなく「移動する」ための器官になるのではないでしょうか。
コケの移動能力を拡張することは、コケの知覚が振る舞いとして表出されることにつながります。コケの環世界について考えるきっかけをつくることで、人のコケや自然環境に対するエンパシー(共感)を促進させます。



UMOZのボディは本物のコケを植えられるように設計しています。植えるコケの特性に合わせて振る舞いのアルゴリズム(ソフトウェア)も個体ごとに少し変えて設計しています。
UMOZには複数の光センサーと湿度センサ―が組み込まれているため、光の強さや方向、湿度を知覚することができます。例えば、日陰を好む種は、強い光を当てられると光から逃げようとしたり、湿気を好む種はミストを浴びると活発になります。
環境の変化に応じて自由に歩き回るUMOZ達の様子を眺めることで、コケの環世界の理解に繋がればと考えています。




家の中や公共空間で、自身の環世界に合わせて自在に動き回っている姿を想定しています。
UMOZは人間にとって便利な機能を持たず、ただ知覚を動きに変換しています。UMOZを見た人にとってほんの少しでも気にかかる存在になったり、動き回る様子に感情移入してやさしい気持ちになることで様々な場所で自生するコケを見た時にコケの環世界を想像することにつながるきっかけとなればと思います。